社会の疑問

隠れコロナ死はPCR検査体制の整備の遅れが招いた人災

PCR検査体制の整備の遅れ

新型コロナウイルスの感染が日本国内でも広がりはじめて3ヶ月が経とうとしていますが、未だにPCR検査が受けられなくて困っている人が多いという報道を耳にします。

その原因は、どうやら検査技師の人材不足だと言われています。新型コロナウイルスのPCR検査はかなり高度な技術が必要な検査で、熟練した検査技師でなければ間違いが生じたり二次感染を引き起こしたりするリスクがあるというのです。

それなら次に考えるべきことは、検査技師の有資格者を教育することですが、PCR検査の現場では多忙を極めており、教育にまで手が回らないというのが実情のようです。つまり、感染者が急増する前に教育すべきだったにもかかわらず、それをしてこなかったために今となっては目の前の検体を検査することで手一杯の状況になっているわけです。これは、政策が後手に回ってしまったというほかはないと思います。

今や、世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるっていますが、検査体制がボトルネックになってPCR検査件数が頭打ちとなっているのは、先進国の中では日本だけではないでしょうか!?日本の検査件数は海外に比べて桁違いに少ないというのが現状なのです。

医療崩壊を防ぐということを言い訳にして…

日本の政府は、37.5度以上の発熱が4日以上続くなどの一定の条件を満たしていないとPCR検査が受けれないと言われており、その理由は重症化していない感染者の増加で病床が埋まって医療崩壊を招くことを回避するためだと説明していました。しかし、それはもっともらしい言い訳で、実態は単純にPCR検査のキャパが限られているためにパンクしないようにしているだけではないかと思えてなりません。その一方で、検査能力のキャパを拡大するための取り組みを行っているのかも疑問です。

最近ではようやく、感染者のなかでも軽症者をホテル等で収容する方向へと変わってきていますが、新型コロナウイルスの感染が始まって3ヶ月以上経った今も検査体制はほとんど改善していないことからも、私の疑問はつのるばかりです。

PCR検査を限定してきたツケ

私は、PCR検査を狭き門としてきたこれまでの政策により、大きなツケがどこかで出てきているのではないかと危惧しています。

なぜなら、全国民へのアンケート調査によると、4日以上37.5度以上の発熱が続いていると答えた人が27,000人も存在しているというからです。新型コロナウイルスの感染が疑われる条件のひとつに当てはまる人がこれだけの数にのぼっているにも関わらず、感染者数が日々数百人規模にとどまっている、感染者数の累計でも1万人程度ということは、PCR検査が必要にもかかわらず検査まで辿り着いていない人が相当数存在しているということになるからです。もしかしたら、PCR検査にたどり着く前に亡くなってしまっている人も少なからず存在するのではないかと危惧してなりません。

そして、ついにその私の心配が現実のものとなりそうなのです。2020年4月20日のネットニュースによると「路上や自宅などで容体が急変して死亡し警察が変死として扱った事案のうち、新型コロナウイルスへの感染が確認されたケースが3月中旬から4月19日までに全国で11件あったことが警察庁への取材で判明した」と言うのです。まさに、PCR検査を受けることも入院して治療を受けることもなく亡くなっていった「隠れコロナ死」と言われる人たちの存在が明らかになったのです。

でも、本当に全国に11名しか事例がないのでしょうか!?ひょっとしたら、これ以外にも表に現れてこない「隠れコロナ死」は存在するのではないでしょうか?

私は、ご遺族が通常どおりの葬儀をして見送りたいという思いから、遺族によって隠蔽されている「隠れコロナ死」あるいは「隠れコロナ疑惑死」が存在するのではないかと危惧しています。もし、そんな事態が多発すれば、葬儀関連の施設現場で感染が拡大する恐れがあり、決してあってはならないことだからです。でも、あるテレビ番組では、既に葬儀業者にPCR検査を受ける前に肺炎で死亡して感染が疑われる中で運びこまれた遺体(グレーゾーン遺体)が出始めているという取材が報道されています。さらに、検査の現場では遺体の検査より患者の検査を優先せざるを得ないという実態も報じられています。

つまり、コロナ陽性の遺体を通常の遺体と同様に火葬しているという事例は既に出ている可能性がたかいということになります。これが、さらなる感染拡大につながる可能性は否定できません。

「隠れコロナ死」はPCR検査体制の拡充を怠ってきた政策が招いた人災だと思えてなりません。

日々の感染者数の推移はあてにならない!?

現在のように、発熱や倦怠感などの症状が出ているにもかかわらずPCR検査が受けられない人が多く存在している状況では、毎日報道されている新たな感染者数の推移で実態を把握することはできないと思います。

仮に、新たに発症したかもしれない人が減少したとしても以前から発症していて検査待ちだった人が大勢いるので検査数は減少せず、新たな陽性者は高止まりする可能性があります。また、新たに発症したかもしれない人が増加傾向にあったとしても、その人たちが全員スムーズに検査されるわけではないので、新たな陽性者が増えたとしても本来の数字より低めの数字として現れる可能性があるのです。

これでは、現在の感染拡大防止策の効果を正しく見極めることができないということなのです。感染拡大防止策の効果を正しく見極めるためには、発熱や倦怠感などの症状が出ていて検査を受ける必要が新たに生じた人の推移をカウントしていく必要があるのです。

検査待ちの人、あるいは、検査を希望して拒否された人たちの人数が膨れ上がれば、新たな感染者数の推移だけでは、実態を把握することができないのです。これでは、新たな対策を講じるタイミングも逸してしまうことになりかねません。そういう点でも、PCR検査が必要な人に対してスムーズに行われる日が一日も早く来ることを願ってやみません。

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ABOUT ME
いずみてつや
1963年生まれ。大阪府出身。千葉県在住。