体験談

溢れる涙の理由とは?~息子の結婚式・披露宴での体験より~

入籍から2年後のこだわりの結婚式

息子が結婚したのは2年前のこと。それまでお付き合いしていた息子の彼女とも家族ぐるみで食事もしていたので、彼女の人柄も良く知っており、明るくて笑顔の素敵な人だと喜んでいました。入籍後、二人は一緒に住み始めましたが、結婚式はまだ先だと言う意味がよく理解できないままほぼ2年近くたった時、結婚式と披露宴の案内をもらいました。入籍した日からちょうど2年目にあたる日にディズニーアンバサダーホテルで挙式をあげる予定だったのです。

ディズニーアンバサダーホテルは超人気でなかなか予約が取れない、ディズニーファンにとっては憧れの場所だったのです。そう言えば、二人ともディズニーが大好きで、休日はしょっちゅうディズニーリゾートでデートしていたことを思い出しました。後からわかった話ですが、二人はどうしてもディズニーアンバサダーホテルで挙式をあげたいと念願していたらしく、入籍した頃から計画していたのです。また、後からわかったことですが・・・披露宴で二人のスナップ写真をスクリーンに映像化するための動画を自分たちで制作したり、二人の馴れ初め等の記録を紹介するしおりを制作したり、さらには、記念品のキーホルダーまで手作りしたり・・・、演出が細部までこだわっていて、手作りのおもてなし感が伝わってくる披露宴だったのです。

挙式の日が近づいてきたある日、息子から「おとうさん、披露宴の最後に新郎の父として、ひと言挨拶してね。そのあと、僕もしゃべるから・・・。」と言うのです。私は「うん、わかった」と快く引き受けました。

サプライズだらけの結婚式と披露宴に驚きの連続!

そして、いよいよ結婚式の当日がやってきました。前日の夜は、両家の家族で食事をして心の準備もできていました。当日の朝、ディズニーアンバサダーホテルに到着すると、私はタキシード姿に着替え控室で女性たちの着替えを首を長くして待ちました。妻と新婦の母・妹が着替えを終え控室で談笑していると、新郎新婦がカメラマンやスタッフと共に登場。記念写真を撮り、控室は挙式前の和やかな雰囲気となりました。

いよいよ挙式が始まります。ホテル内の教会へ行くと、既に大勢の来賓の方々が来られていて、スタッフに誘導されるままに席に着きました。女性の生オルガン・生コーラスの中、神父によって粛々と挙式が進められていきました。式が終わると中庭に降りて、来賓の方々が見守るなかで、新郎新婦を祝福するために・・・とアナウンスが入り、突然、ミッキーとミニーが登場したのです!割れんばかりの歓声があがりました。

こんな演出があることも、事前には知らされていなかったのです。

社会人としての息子の後姿を垣間見たような・・・

その後、一旦控室で休憩している間に、改めて主賓の方、息子の仕事仲間や友人にご挨拶して回りました。その時、改めて思ったのは、学生時代からの友人数名を除き、来賓された方のほとんどが初対面の方だったのです。特に、息子が日頃から師匠として尊敬している方には主賓としてお招きしており、ご夫婦でお越しいただいておりました。こちらも夫婦で日頃の御礼と本日のご来場のお礼を申し上げましたが、息子が師匠と言うだけあってとても仕事ができそうで、それでいて腰が低く丁寧な祝辞を賜りました。

披露宴が始まると、主賓の方からの息子に関するエピソードが披露され、また、スクリーンには数々の趣向を凝らした手作りの映像が流れ、再び、ミッキーとミニーが登場して新郎・新婦を祝福するなど、サプライズが次々に現れるのです。その度に、驚きの連続でした。

お料理の数々も、そのデザイン性や味がとても素晴らしかったのですが、実のところは最後の新郎の挨拶がおわるまでは、落ち着いてゆっくり味わって料理を楽しむ気持ちの余裕はありませんでした。

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親としての感慨に浸る

披露宴の途中で、私は妻と一緒に各テーブルを回り、お一人お一人ご挨拶と御礼を述べて回りました。この時、私の頭の中に何かスイッチが入ったような気がしたのです。息子の仕事のことは、常々息子自身の口からは聞いておりましたが、こうして息子が日頃お世話になっている方から直接お話を伺うことは初めてだったので、息子もしっかり仕事をしているんだという実感が改めて湧いてきたのです。息子の社会人としての後姿を初めて垣間見たような気になりました。

ビジネス上の先輩やお仲間の方々、学生時代からの友人、みんな素敵な人たちばかりで・・・、息子はなんて幸せな充実した日々を送っているのだろうと思い、親としての安堵の気持ちと、この場にご来場いただいた方々への感謝の念で胸が熱くなってきました。

思い返すと、一人っ子だった息子が小学生の頃に悪質ないじめに合い、担任の先生へ相談に行ったこと、就職して2年足らずで会社を辞めると言い出したこと・・・等々、さまざまなシーンが頭の中を巡っていました。いろんな不安もありましたが、親として息子を信用していたこともあって、特に男親としてはあまり干渉することなく見守ってきたので、実のところ自分の息子でありながら、息子の普段の仕事ぶりのことはよく知らなかったのです。そして、来賓の方々のお話の端々から受ける息子の人間性について我が子ながら感心し、育ててくれた妻へのねぎらいの気持ちと自分の息子への誇らしい気持ちが入り混じった複雑な感情が沸きあがってきたのです。

溢れる涙の理由とは?

披露宴も終盤にさしかかり、通常であれば、定番の新郎新婦から双方の親への花束贈呈となるのでしょうが、この時は双方の母親へディズニーの特大のぬいぐるみが贈呈されたのです。妻は、サプライズに感激の涙を見せていました。そして、いよいよ新郎の父からの挨拶のタイミングがやってきて、私がマイクを持ったのです。

まずは、定型の御礼の言葉を述べたのですが、突然、何かこみあげてくるものがあり、胸を詰まらせて涙が溢れだしたのです。口元が震えだして、しばらく声を発することができずに言葉を詰まらせてしまったのです。その後は、事前に準備していた内容の半分程度の内容しか話すことができず、それでも何とかご来場いただいた方々への感謝の気持ちをお伝えしました。

自分が流したあの涙は、いったい何だったんだろう・・・と、後日、改めてあの日のことを思い返すことが度々ありました。そして、日を追うごとに、その理由がハッキリしてきました。それは、親としての「喜び」です。この子の父親であれたことへの喜びに他かならなかったのです。2年も待たされましたが、こんな素晴らしい結婚式と披露宴に新郎の父として参加させてもらえたこと。その喜びの涙だったのだと今改めて思っています。

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ABOUT ME
いずみてつや
1963年生まれ。大阪府出身。千葉県在住。