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コロナ対策第1フェーズを振り返って・・・
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年4月7日に発令された緊急事態宣言はようやく5月下旬に解除されました。今後、第2波の感染拡大が到来するリスクもありますが、経済の立て直しや日常生活を取り戻すために、感染リスクと正しく向き合うというスタンスに舵がきられたわけです。
国民一人ひとりが新型コロナウイルス感染防止のためにどんな行動をとる必要があるのか、これまで様々なことが指摘されてきました。それらを要約すると、およそ以下の4点に集約されるのではないかと思います。
- 「咳エチケット」という観点からマスクを着用する
- 30秒以上かけて丁寧に手洗いをする
- 3つの「密」を避ける
- 2m程度のソーシャルディスタンスを保つ
これまで未知のウイルスと闘ってきたわけですが、新型コロナウイルスについて少しずつわかり始めてくると、今後の第2フェーズでは感染リスクの高い行動をもっとわかりやすく明示すべきではないかと思います。
特に、「三密」という言葉だけが広まって独り歩きしてしまっており、逆に「三密」でなければ安全という間違った理解が広がってしまうことを心配しています。
「三密」を回避するだけではリスクの本質を見誤るのでは!?
- 3つの密を同じリスクレベルで考えてはいけない!
- 「密接」こそが最大の感染リスク!
3つの「密」が重なるような場所を避けるという行動様式は、感染拡大防止の観点からは間違ってはいないと思います。しかし、3つの蜜を同じレベルで考えると、リスクの本質を見誤るのではないかと危惧しています。
確か、私の記憶ではライブハウスでクラスターが発生したこがきっかけとなり、密閉・密集・密接という3つの密、いわゆる「三密」を避けるという行動が声高に言われるようになりました。では「1つの密、2つの密なら安全なのか!?」というと決してそうではないと思うからです。
ここで、改めて3つの密について確認します。
- 密閉…換気の悪い密閉空間
- 密集…多くの人が集まる場所
- 密接…近距離での会話や発声
この3つの密のうち、明らかに「密接」と「密閉・密集」はリスクの度合いが違うと思いませんか!?なぜなら、換気の悪い場所に居るだけでは感染は起きません。多くの人が集まる場所にいるだけでも感染は起きにくいでしょう。しかし、近距離で会話したり大声を出したりすることだけで、感染は起きてしまう可能性があるからです。つまり、「密接」は近距離で飛沫を飛ばし合う行為だからです。極論を言えば、換気の悪い場所に多くの人が集まっても飛沫さえ飛ばさなければ感染リスクは低いのです。
介護施設やスポーツジムで感染が起こっているのに、パチンコ店で感染が起きていないのはなぜか?それが「密接」(近距離での会話や発声)というたった一つの密が有るか無いかの違いによるものだと思うからです。
介護士さんたちは、高齢の施設利用者さんと会話する時は腰をかがめて目線の高さを合わせて顔をかなり近づけて大きな声でお話することが一般的です。お互いの顔に飛沫を飛ばし合っている行為と言ってもいいくらいです。もちろん、マスクやフェイスシールドで感染防止を図ることでリスクを軽減できると思いますが、食事中の会話だったりするとそうもいかないことだってあります。
スポーツジムで見過ごされがちなことは、運動している利用者たちが「口呼吸」をして口から大量の飛沫を放出しているということです。近距離であるかどうかは別にしても、密閉空間で口呼吸をして大量の飛沫を放出する行為は会話や発声と同じですね。
一方、パチンコ店は密閉・密集の「二密」となる可能性の高い場所ですが、会話しない限りはリスクは決して高くはないのです。もちろん、マスク着用や手洗いなどの必要な感染防止の行動をとっていることが前提ですが…。
政府や地域の行政もこんなことぐらい解っていると思うのですが、それならば「三密を避ける」というような大雑把な表現はそろそろ辞めて、リスクの高い行動を的確に注意喚起すべきでしょう。「密接」という一つの密だけでも感染リスクが高いのですから…。
「三蜜」以外にも感染リスクの高いシチュエーションはある
- 「飲食」を伴うシチュエーションは感染リスクが高い
- 密が1つ2つでも「時間」という概念を導入して長時間は避けるべき
私は、いわゆる「三密」以外にも感染リスクの高いシチュエーションがあると感じています。その一つが「飲食」です。
例えば、河原で友人を集めてバーベキューをしたり、公園でお弁当を広げて複数の家族が食事をするようなケースです。屋内であるか屋外であるかを問いません。また、アルコールを飲んでいるか否かも問いません。要するに、飲食物を囲んだ人たちがワイワイ楽しく歓談しながら食べ物の上に飛沫を飛ばし合って、その飛沫がかかったモノをみんなで食べるという行為こそが、感染リスクが高い行為であり避けるべきであると感じているのです。
行政はなぜ「夜の接待」だけを禁じるのでしょうか?また、「緊急事態措置の中でもアルコールは午後7時まで」としてそもそもアルコールの提供を禁じなかったのでしょうか?
感染リスクを回避するという観点からは、食事をするというシチュエーションにおいて他人の飛沫が食べ物にかかるリスクを回避することが一番重要なことであり、それは昼夜を問わず、また、仕事関係や友人関係などに関係なく、リスクは同じではないかと思うのです。また、お店でアルコールを提供することがより会話を弾ませて場を盛り上げ、時として大きな声が出ることにつながるわけですから、緊急事態措置の下ではアルコールの提供は禁止すべきだったと思います。
もうひとつは接触時間の問題です。1つの密であれ2つの密であれ、その状態が長時間続くとリスクが高まることは誰も疑う余地がないと思います。これは、一律に30分なら良くて1時間なら駄目と言えるようなものではありませんが、ある程度の科学的な検証に基づいて「密閉空間で◯◯分を超えない」というような行動指針が出れば満員電車の通勤時間、会食やビジネス上の会議の所要時間、相談窓口での対応時間などに応用できるのではないかと思います。
感染リスクの高いシチュエーションをわかりやすく明示すべき
- 飛沫が飛びやすいシチュエーションを高いレベルで回避するべき
- 飲食は他人の飛沫が飛んでこないシチュエーションを選ぶべき
これまで何度も言われてきた「三密」が感染リスクが高いということは、今では誰しも理解できるようなレベルになったと思います。
今後は、1つの密、2つの密でもリスクの高いシチュエーションがあるという意識を国民に植え付けていく必要があると思います。それが、三密の中でも一番気をつけなくてはならない「密接」(近距離での会話・発声)です。表現を変えて言うならば、「飛沫が飛びやすいシチュエーションに注意する」ということです。近距離での会話・発声はもとより、口呼吸も含めて、歌うシーンやスポーツ・運動シーン、観戦・応援するシーンなどを網羅的に意識して注意すべきだと思います。
そして、もうひとつの感染リスクは「飲食」のシチュエーションです。これは、いうまでもなく「食べ物に他人の飛沫がかかる可能性のあるシチュエーションで食事をしない」ということです。夜の接待だけにとどまらず、飲食店や野外で誰かと一緒に食事をする時に注意すべき重要なポイントなのです。
(注)ここに記載した内容は、科学的・免疫学的根拠に基づくものではなく、最近のさまざまな報道等から個人的な感想をまとめたものです。